群青の月
「……柚葉?おい、柚葉!」


その声にゆっくりと顔を上げると、必死な表情の冬夜がいた。


虚(ウツ)ろな視線を向けるあたしに彼が腕を伸ばして来る姿が、やけにスローモーションに見えた。


抱き締められたのはその直後で、冬夜の腕の中に収まった時、無意識のうちに息を大きく吐いていた。


「大丈夫か?お前、すごい汗だぞ……」


自分が汗だくになっている事にすら気付かなかったあたしは、頷きながらも体を上手く動かす事が出来なくて…


冬夜の腕に体重を預けるように体を傾けて、そのままゆっくりと目を閉じた。


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