群青の月
少しの沈黙の後、柚葉がため息をついた。


「いらない」


キッパリと答えた彼女の表情は、明らかに暗かった。


元々明るい性格では無い彼女を益々暗く見せる瞳に、何だか胸の奥が締め付けられる。


そんな姿を前にして、これ以上誘う事なんて出来ない。


「そうか……」


他に話題を見付けられなくて、その後は無言のまま片付けを済ませた。


それから気まずさを隠すように、先にリビングに行った。


程なくして、柚葉が俺の後を追うように部屋に入って来た事にホッとして、ついため息が漏れてしまった。


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