群青の月
「あたしがいらないって言ってるんだから、別にいいじゃん」


突き放すような冷たい口調に、胸の奥がズキリと痛む。


同時に、感じたばかりの不安が大きくなった。


「でも、ずっと渡してないだろ?だから今日は……」


「いらないってば!」


俺の言葉を遮った柚葉は、その顔に苛立ちを見せた。


左手で自分の髪をグシャリと掴んだ彼女が、俯きながらため息を吐き出す。


その姿は何だか、何かに後悔しているようにも見えた。


俺は仕方なく財布に三万円を戻した後、柚葉とは離れてソファーに座った。


< 462 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop