群青の月
◆Side‥冬夜
【Side‥冬夜】
たった今、柚葉が吐き捨てるように落とした言葉は、まるで淀んだ夜空に吸い込まれるように消えた。
目を見開きながら、一瞬だけ自分の耳を疑う。
柚葉の冷めた瞳には何か理由があるような気がしていたけど、まさか体を売っているなんて思ってもみなくて…
そんな行為をしている女を目の前にして、俺は言葉を失ってしまっていた。
「……何?同情でもしてるの?それとも、つまらない説教でもするつもり?」
しばらく黙っていると、柚葉は欝陶しそうな表情で俺を見ながらため息をつき、矢継(ヤツ)ぎ早(バヤ)に訊いた。