群青の月
「あぁ、うん……。そうだな……」


冬夜の表情は、面倒臭いって言っている訳じゃないとは思う。


だけど、どこか少しだけ億劫そうな感じがした。


言葉を濁している冬夜の横顔を、あたしは何となく見ていた。


「あぁ、わかってるよ。まぁ都合が付いたらな……。いや、そういう訳じゃないけど、最近色々あってさ……」


煮え切らない口調の彼は、眉間にシワを寄せたまま難しい顔をしている。


「いや、だから……色々あるんだって……」


言葉を濁し続けるような冬夜を見て、直感で電話の相手は女だって思った。


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