群青の月
胸の奥が、チクリと痛む。


それは、次第に疼くような感覚に変わっていって、言葉に出来ない痛みがゆっくりと広がっていった。


その痛みを逃がそうと伸ばした手は、冬夜のタバコの箱を掴んでいた。


そこから当たり前のようにタバコを抜き取ると、彼が少しだけ呆れたように笑う。


その顔に何だか泣き出してしまいそうになっていると、冬夜はあたしの顔の前にジッポを差し出した。


反射的に彼を見ると、同時にジッポから火が上がって…


あたしはユラユラと揺れる赤に惹かれるように、咥えたタバコの先端をそっと近付けた。


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