群青の月
乗り越えたフェンスの先で、冬夜はどんな景色を見たんだろう…。


淀んだ空だったのか、汚れた街だったのか…。


それとも、その中に埋もれる人々だったのか…。


どれにしても、生きる希望を見る事なんて出来ない。


「自棄(ヤケ)になってたし、まぁ酒の力もあったんだろうけど……。俺はあの時、確かに『もう死んでもいいか……』って思ったよ」


そんな絶望の中、後ろ手で掴んでいたフェンスを離して足を踏み出そうとした。


だけど、そこに現れたのが自分(アタシ)。


振り返ったあの時の冬夜が敵対心をあらわにしていた事を、鮮明に思い出した。


< 486 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop