群青の月
「不思議だよな……」


冬夜の声が、ヘッドライトに溶けるように消えた。


零された言葉の意味を理解出来なくてキョトンとしていると、彼があたしの気持ちを察するように小さく笑った。


「何の共通点もなかった俺達が出会って、こうして一緒にいる事が……だよ」


フワリと微笑んだ冬夜を見て、胸の奥がどうしようもないくらいに熱くなっていった。


その優しい温もりは、まるであたしが抱いていた負の感情を包み込むように広がっていく。


ガラにも無く、何だか頑なに閉じたあたしの心を守ってくれようとしているみたいだ、なんて思った。


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