群青の月
その前にこんな真実を聞かされるのなら、何も知りたくなかった。


本当はずっとわかっていたのに、冬夜の気持ちを知るのが恐くて…


ずるいと思いながらも、その事は考えないようにしていた。


だから…


利用されていたんだって事実を突き付けられた今、もうどんな顔をすればいいのかすらわからなくなっていた。


利用していたのはお互い様だし、冬夜を恨もうなんて気持ちは微塵も無い。


それでもやっぱり胸の奥が苦しくて、泣き出したくなるくらい悲しくて堪らなかった。


あたしは溢れ出してしまいそうな涙を隠すように、そっと瞳を閉じた――…。


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