群青の月
俺の住んでいるマンションは、一人暮らしをするには充分過ぎるくらい広い。


だけど…


大人がかくれんぼ出来る程の広さがある訳じゃない。


もう一度ベッドルームに戻った俺は、柚葉のバッグがいつも置いてある場所に無い事に気付いた。


その瞬間、嫌な予感が全身を包む。


柚葉は、あの日からここから出た事は一度も無い。


それは確かな事実だけど、無くなったバッグが彼女が今ここにいない事を物語っている。


どうして……?


芽生えた疑問の答えを考える前に、ベッドルームを飛び出していた。


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