群青の月
不謹慎にも、柚葉の涙を綺麗だと思った。


蛍光灯の光が、そう見せている訳じゃないと言い切れる。


その涙に秘められた理由はわからないけど、あまりにも綺麗な表情に魅了されてしまって、思わず息を呑んでいた。


何も言えないまま柚葉を見つめ続けていると、顔を背けたままの彼女が悔しさを滲ませながら口を開いた。


「……っ、なん、でっ……」


「え?」


「どうして……っ、あたしばっかり、っ……こんな目に遭わなきゃいけないのっ……!?」


泣き声で吐露(トロ)した柚葉は、怒りや悲しみを含んだような瞳で俺を見た。


< 501 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop