群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
抱き締められた体に感じる温もりが、あたしの涙を外へと誘(イザナ)う。
泣くつもりなんて無かった。
涙を見せるつもりなんて無かった。
だけど…
色んな物を抱え過ぎて、もう耐える事が出来なかった。
弱い自分が嫌いで、そんな自分(アタシ)に負けたくなかった。
だから、いつからか泣く事を止めた。
それなのに…
「もう大丈夫だ。俺が傍にいるから泣いてもいい。だから、もう何も我慢するな」
優しく落とされた言葉をキッカケに、嗚咽だけでは収まり切らない涙が後から後から溢れ出した。