群青の月
呆然とするあたしに向けられているのは、眩しいくらいに真っ直ぐな笑顔。


その表情が、陽溜まりみたいな暖かさをくれて…


未だに状況を把握出来ていないのに、無意識のうちに安堵を感じた心が少しずつ落ち着いていくのがわかった。


まだ整わない呼吸を沈める為に、ゆっくりと息を吐く。


何を言えばいいのかわからないままだったけど、とにかく本能だけで口を開こうとした。


その瞬間…


背後でエレベーターのドアが開く音がして、驚きで体がビクリと震えた。


咄嗟に開き掛けた唇を閉じて、冬夜から離れた。


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