群青の月
仕事上、俺はずっと人と接してばかりだった。


だから、少し話をしただけでも、相手の性格が多少は読める。


だけど、柚葉は全く掴み所が無い感じがして…


煮ても焼いても食えないような彼女に、少しずつ興味が湧いて来るのを感じた。


しばらく黙っていると、不意に柚葉が立ち上がった。


「タバコ、ご馳走様。じゃ」


「え……?」


単語を繋ぎ合わせるように話した柚葉を見上げると、彼女は既に屋上から立ち去ろうとしている。


「柚葉っ!!」


その光景の意味を理解した瞬間、咄嗟に柚葉を呼び止めていた。


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