群青の月
瞬き一つ出来ずに驚くあたしの体を抱き締めているのは、もうすっかり慣れてしまった冬夜の腕。


「は……離してっ……!」


咄嗟に抵抗したあたしを、彼が更に強く抱き締めた。


その腕に捕らわれてしまった体から、力が抜けそうになる。


「本気で嫌なら全力で抵抗しろよ。それくらいの加減はしてる」


冷たく感じた口調に怯みそうになりながらも、あたしは冬夜の体を押し退けようとした。


「お願いだからっ……!」


「だったら、もっと本気で嫌がれよっ!!」


泣きながら懇願すると、冬夜が声を荒げた。


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