群青の月
このままこの腕の中に収まってしまえば、あたしはきっとラクになれる。


だけど…


その代償として、冬夜を酷く傷付ける事になる。


あたしの過去は、どうしたって綺麗に出来ないくらい真っ黒だから…。


汚れた道を歩いて来たあたし自身は、もうどうしようもない程に堕ちてしまっている。


あたしにとって、冬夜はそんな薄汚いあたしの心の中を染めるほんの僅かな“白”。


真っ黒な自分(アタシ)だけど、せめてその場所だけは汚したくない。


こんなあたしなんかのせいで、冬夜まで汚(ケガ)れないで欲しいんだ…。


だから…


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