群青の月
「……っ、離してっ!!」


唇を噛み締めながら全力で抵抗して、冬夜自身にも彼の想いにも拒絶を見せた。


解放された体が不安を纏って、体温が奪われていく気がする。


だから…


痛みや寂しさに心が負けてしまわないように、冬夜を睨み付けた。


「あたしは……っ!」


続く言葉を言えなかった。


『アンタなんて嫌い』


そう言って最後の拒絶を見せようとしたのに、冬夜はまだあたしを真っ直ぐ見つめていて…


あたしの心の中を見透かしているんだって事が、わかってしまったから…。


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