群青の月
「柚葉は綺麗だよ」


落とされた言葉に引かれて思わず顔を上げると、冬夜が柔らかく微笑んでいた。


真っ直ぐな彼の瞳が、その言葉が嘘や同情じゃないって事を、どんな言葉よりも雄弁(ユウベン)に物語っている。


「誰が何と言おうと、俺の目に映る柚葉は綺麗だよ」


与えられる優しさに、また声を上げて泣いてしまいたくなる。


「だから……」


「あたしはっ……!アンタには汚れて欲しくないのっ!!」


咄嗟に声を荒げた後、話を続けようとした。


だけど…


次の瞬間、冬夜が嘲笑にも似た笑みを浮かべた。


< 534 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop