群青の月
優しい言葉が紡がれた後、再び目の前に差し伸べられた冬夜の右手。


「……だから、今度こそ自分で掴めよ」


あたしを止めていた理性が崩れていくのを感じながら、ゆっくりゆっくりと右手を伸ばす。


どうしようもない程のバカだって思う。


どうしようもない程に愚かだって思う。


だけど…


バカでもいい…。


愚かでもいい…。


だって…


やっぱり、差し伸べられたこの手を本気で拒絶する事なんて、あたしには出来ないから…。


優しく射し込む太陽の光の中、二つの手がそっと重なった――…。


< 537 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop