群青の月
◆Side‥冬夜
【Side‥冬夜】
重なった二つの手を、ベランダから射し込む光が優しく照らす。
柚葉が自分から俺を求めてくれたのは、初めての事だった。
必要とされているんだって事を実感出来た瞬間、泣き出してしまいそうな程に胸の奥が熱くなった。
滲む視界を誤魔化す為に、重なっていた柚葉の手を掴んで引っ張る。
「ひゃっ……!?」
驚きの悲鳴を小さく上げた彼女の声は、今までで一番可愛らしいものだった。
「俺が傍にいるから……」
涙を堪えながら囁いた俺の腕の中で、柚葉がほんの僅かに頷いてくれた気がした――…。