群青の月
ベッドルームに入ると、冬夜はあたしの手を離してからベッドに腰掛けた。


どこに座ろうかと迷って視線を泳がせていると、彼が微笑みながら自分の隣をポンポンと叩いた。


その手は、やっぱりあたしを導いてくれる。


泣きたくなる程の切なさと、まだ名前も知らない気持ちが込み上げて来た。


『好きよりも愛してる』


“愛”なんて感情は、まだよくわからない。


だけど…


胸の奥が苦しいくらいに締め付けられるのを感じながら、そんな事を言っていた冬夜の気持ちがほんの少しだけわかった気がしたんだ――…。


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