群青の月
どこから話せばいいのかわからなくて、中々口を開く事が出来ない。


そんなあたしの気持ちを察するように、冬夜があたしの手をギュッと握った。


「ゆっくりでいいよ。柚葉が話せるようになるまで、俺は何時間でも待つから」


優しく言った冬夜を見上げると、彼は穏やかな笑みを見せてくれた。


「今日が無理なら、明日だって明後日だってある。何なら、1年後だっていいんだ」


1年後……?


考えもしなかったずっと未来(サキ)の事に、思わず目を見開く。


冬夜はそれ以上は何も言わずに、ただ優しく微笑んでいた。


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