群青の月
「あたしさ、最低な母親と同じなんだ……」


静かだった部屋に、突然柚葉の声が響いた。


とっくに俺から顔を背けていた彼女は、目の前の壁の一点を見つめるようにして、そのまま視線を動かさない。


柚葉から家族の事を聞いたのは、初めての事なのに…


その口から出て来たのは、“最低な母親”なんて言葉。


もし、柚葉の心の中に消えない大きな傷を付けたのがその人物なら、俺は憎しみの全てをそこに向けてしまうだろう…。


そんな気持ちを抱える自分(オレ)に眉をしかめながら、彼女の次の言葉を静かに待っていた。


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