群青の月
「ハァ……」


柚葉はこれ見よがしに深く大きなため息をついた後、面倒臭そうな表情で俺を見た。


「もういい……。アンタ、マジでしつこいし……」


「交渉成立?」


「あたしに選択権なんてなかったじゃん。嫌がってるのに、ちっとも離してくれなかったくせに」


強引な俺に観念したのか、柚葉は逆らう事を諦めた。


どうやら、彼女を頷かせる事が出来たらしい。


「ハハッ!まぁこの際、細かい事は気にするなよ」


俺が言い終わるよりも早く、柚葉は強引に手首を引っ込めてしまった――…。


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