群青の月
夜が、静かな部屋が、闇を呼び寄せる。


話は、まだ序盤。


それなのに…


気丈に振る舞う柚葉の気持ちを考えると居た堪れなくなって、胸の奥がギシギシと軋むように痛んだ。


「でも貰ったお金なんてすぐになくなって、貯金もなかった母親は体を売るようになったらしくてさ……。しかもその事を『妊娠中だったから避妊しなくても大丈夫だし、お陰で結構稼げたよ』って自慢げに話されたよ」


この事を知った時、彼女は一体どんな気持ちになったんだろう…。


こんな話を娘にする母親の気持ちが、俺には理解出来なかった。


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