群青の月
息を吐いた柚葉は、眉の力を緩めて口を開いた。


「あの人が体を売ってた頃は、稼いだお金のほとんどを男に貢ぐ為に遣ってたけど、それでも何とか生活は出来るくらいだった……」


呆れたようにも見える彼女の横顔が、心に根付いている苦痛を訴えるように歪んでいく。


「でも、酒浸りになって体を売らなくなったら、あっという間にお金が底を尽きたみたい……」


柚葉の声がさっきよりも大きく震え、今にも泣き出してしまいそうな顔をしている。


「何となくその事に気付き始めた頃……学校から帰ったら、母親と二人の男が家にいた……」


< 563 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop