群青の月
「あたしが中学三年の時でさ……。ちょうど、今頃の時季だったから夏休みだったんだけど、その日はたまたま補講があって……」


どこか焦るように口調が早くなった柚葉は、そこで口を閉ざした。


この先の事は、もう話したくないんだろう…。


柚葉の泣きそうな横顔を見つめながら、話を止めたくて堪らなくなった。


だけど…


柚葉が話そうと決めた事だから、この先をどうするのかも彼女自身に決めて欲しかった。


だから…


俺は柚葉の話を制してしまわないように、口を開きそうになるのを必死に堪えていた。


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