群青の月
眉をしかめて葛藤する俺を余所に、柚葉がまた口を開いた。


「お昼過ぎに家に帰ったら、知らない男達がいて……。あの人の周りにはいつも男がいた事は知ってたけど、一度に二人も連れて来たのは初めてだったから、おかしいなって思ったんだ……」


さっきまでは、気丈に振る舞おうとしていた彼女の表情に動揺が見える。


「でも……関わりたくなかったから気にしない振りして、いつもみたいに口も利かずに部屋に入った……」


柚葉はそこまで言うと、壁の一点を見つめていた視線を床に落として、瞳に憎しみを込めた。


「そしたら……」


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