群青の月
「……っ!」


全ての憎しみをぶつけるように床を睨む柚葉が声を詰まらせた後、意を決したように瞳をギュッと閉じた。


「突然……その男達に……押し倒されたの……っ!」


彼女から告げられたのは、あまりにも衝撃的な事実…。


自分の耳を疑う間も無く、頭と心がそれを理解してしまって…


俺の全身を纏う空気が、その一瞬で凍り付いた気がした。


同時に、怒髪天(ドハツテン)を衝(ツ)く程の怒りを感じて、ぶつけようの無いそれが心を支配する。


俺は、無意識のうちに柚葉の手を強く握っていた。


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