群青の月
戸惑いと苛立ちを抱いてここから立ち去った後、バイトを終えたあたしを待ち受けていたのは母との言い争い。


あんな低俗な相手と、あんなつまらない理由で喧嘩なんてしたくなかった。


だからこそ、今まではどんな事があっても我慢して来た。


だけど…


あたしに更に体を売る事を要求して来る母を前に、もうその我慢すら出来なくなったんだ…。


「冬夜があたしを探しに来てくれた時、あたしは家から逃げて来た……」


あの日の出来事が、鮮明に脳裏に浮かぶ。


あたしは唇を噛み締めながら、目をグッと閉じた。


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