群青の月
冬夜はとっくにメニューを決めたらしく、さっきからタバコを吸っている。


彼が一本目のタバコを吸い終え、程なくして二本目に火を点けた時…


「……柚葉、決まった?」


痺れを切らしたのか、あたしを見ながら訊いた。


「……まだ」


「お前って、優柔不断な方?それとも腹減ってねぇの?」


小さく答えたあたしに、冬夜が怪訝そうに眉を寄せる。


「違うけど……」


「じゃあ、何だよ?」


不思議そうな表情で僅かに首を傾げた彼は、視線だけあたしに寄越(ヨコ)したまま煙を吐いた。


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