群青の月
◆Side‥冬夜
【Side‥冬夜】
柚葉を想うと切なくて堪らなくなって、気が付くと衝動的に彼女を抱き締めていた。
気丈に振る舞いながら自分の過去を話してくれた彼女の心には、きっと大きくて深い傷が刻まれてしまっている。
それを癒す術はやっぱりまだわからないし、もしかしたらもう一生消える事は無いのかもしれない。
だけど…
『そんな時、冬夜の顔が浮かんだ……』
そう言ってくれた柚葉のこの言葉だけで、俺にはもう充分だって思えた。
そして…
俺は生まれて初めて、本気で自分よりも大切だと思える存在を見付けたんだ。