群青の月
ゆっくりと体を離すと、柚葉の瞳には涙が浮かんでいた。


そこに留まる事が出来なくなったそれが、堰を切ったようにポロポロと溢れ出す。


その表情はやっぱりすごく綺麗で、まるで俺の心を搦(カラ)め捕るかのように掴んで離さない。


「冬夜……」


涙を隠さない柚葉に名前を呼ばれて、胸が大きく高鳴った。


頭では、こんな時にドキドキするなんて不謹慎だと理解している。


それなのに、心は柚葉に掻き乱されてしまう。


そんな俺を余所に柚葉が次に紡いだのは、孤独の中で生きて来た彼女らしい言葉だった。


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