群青の月
「ここを出て、どこに行くんだよ?」


「わかんないけど……。でも、あの家にはもう帰るつもりはないから、どこか安いアパートでも探す」


「じゃあ、それまでは?」


「ネカフェとか、カプセルホテルとかで……」


柚葉が強がっている事が目に見えて、思わずため息が漏れる。


「それが無理なら、格安で泊まれそうな所を探すよ」


俺は彼女を真っ直ぐ見つめ、頬を濡らす涙を指先で拭った。


「お前の中には、このままここに住むっていう選択肢はないのか?」


そう訊くと、柚葉は目を大きく見開いた。


< 618 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop