群青の月
「誰かと恋愛するなんて考えた事ない……」


一息に発された言葉に、またため息が漏れてしまいそうになる。


「それは、質問の答えになってないだろ」


「だからっ……!」


苛立ちをあらわにしながら顔を上げた柚葉が、必死で涙を堪えているのがわかった。


「じゃあ、質問を変える」


ゆっくりと言って、言葉に詰まった彼女の頬をそっと撫でた。


「俺の事、嫌い?」


「……っ!」


驚いた表情をした柚葉の瞳から一筋の涙が零れた後、彼女は唇を噛み締めながら首を小さく横に振った。


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