群青の月
無言だったけど、素直に否定してくれた事が心底嬉しくて…


今の柚葉なら、もうこれだけでも充分だと思えた。


「だったら、俺の彼女になって?」


「でも……」


「言っとくけど、俺の中には“柚葉を手放す”なんて選択肢はないから。俺の中にあるのは、“柚葉の傍にいたい”って気持ちなんだよ」


まだ戸惑いを見せる柚葉に優しく微笑むと、彼女は涙を隠すように目を閉じた。


「だからさ……」


「アンタって、本当にバカだね……」


柚葉は俺の言葉を震える声で遮った後、小さく頷いてくれた。


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