群青の月
冬夜の後を追うようにリビングに行って、いつものように彼と他愛のない会話を交わす。


「そういえば、今日は何でこんなに早いの?」


「ん?特にやらなきゃいけない事もなかったから、授業が終わってからすぐに帰って来たんだ」


「どこにも寄って来なかったの?」


「あぁ。今日は柚葉とゆっくり過ごそうと思って、職安に行くのもやめたからな」


「ふーん」


あたしとの為に時間を作ってくれた事は嬉しいのに、素直になれなくてぶっきらぼうに返してしまう。


それでも、冬夜はネクタイを緩めながら、楽しげに笑っていた。


< 635 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop