群青の月
逃げるようにリビングを出た冬夜を睨むように、ドアに視線を送った。


それが届く事が無いって事をわかっていても、からかわれた事に納得がいかなかったから…。


だけど…


冬夜があんな風に言ったのは、あたしの為だって事をわかっている。


彼はいつだって、あたしの事を心配してくれているから…。


だから、やっぱり本気で怒る気になんてなれないんだ。


ありがとう……


心の中で呟く事しか出来なかった言葉を、いつか冬夜に直接伝えたい。


あたしはまた、そんなガラにも無い事を思っていた――…。


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