群青の月
グチャグチャになったキッチンを片付けた後、アイスコーヒーを飲みながらソファーで寛いでいた。


それが残り半分程になった頃、ガチャリと音が鳴って玄関の鍵が開いた。


リビングから顔を覗かせると、あたしに気付いた冬夜が微笑む。


「ただいま」


「おかえり」


玄関まで出迎えて、冬夜の顔を見つめる。


「疲れた……」


彼はため息混じりに呟きながらあたしの頭を引き寄せ、もう一度ため息を落とした。


こんな風に抱き締められるのは未だに慣れなくて、あたしは戸惑いながらも大人しくしていた。


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