群青の月
しばらくしても解放して貰えなくて、あたしはただ突っ立ったままでいるしか無かった。


すると、不意に冬夜がクスッと笑いを零した。


「……柚葉、緊張し過ぎ」


喉の奥でクッと笑った彼の言葉に、顔がカッと熱くなってしまう。


「お前の心臓、バクバク鳴ってるし」


慌てて離れると、冬夜は更に楽しそうに笑った。


「何かムカつく……。てか、ウザイし……」


「その言葉、久しぶりに聞いたな。でもそんな顔したって、全然恐くないから」


不機嫌な顔で冬夜を睨むあたしに、彼は悪戯な笑みを浮かべていた。


< 658 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop