群青の月
どうして、こんな男と一緒にいるんだろ……


そもそも人影が気になったくらいで、知らないビルの屋上にわざわざ行くなんて、有り得ない。


今更だけど、数時間前の自分(アタシ)は、本当にバカだったと思う。


その結果、こんな変な男に振り回されて後悔しているなんて、今日はとてつもなくツイていない。


だけど…


もしもあの時、あたしがあの場所で冬夜に声を掛けていなかったら、彼は死んでいたのかもしれない。


そう思うと、後悔とは違う何か別の感情が、ほんの少しだけ自分の中に芽生えた気がしたんだ――…。


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