群青の月
手の平に乗せた合鍵を見つめながら、パチパチと瞬きを繰り返す。


「……いいの?」


確認しながら顔を上げると、冬夜はまた優しい笑みを零して頷いた。


ひんやりと冷たい合鍵の存在を確かめるように、ギュッと握り締める。


「ありがとう」


笑顔で言ったあたしに、冬夜が目を見開いた。


「その言葉を素直に言えるようになったか……」


改めて感慨深げにそんな事を言われると照れ臭いけど、それでも喜びの方が大きい。


嬉しさで綻んでいたあたしの唇に、幸せそうに目を細めた冬夜の唇が重なった――…。


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