群青の月
寝息とは違う息遣いから、冬夜がまだ起きている事はわかっていた。


だから、明らかに意図的に離れられたんだって事に気付いて…


拒絶されたとしか思えなくて、胸の奥から苦しさが込み上げて来る。


同時に心がチクリと刺された気がして、思わず唇を噛み締めてしまった。


痛み出した胸の奥が、考えないようにしていた不安を思い出させる。


あたし達は恋人で、成り行きとは言え一緒に住んでいるし、こうして同じベッドで眠って、毎日キスだってする。


だけど…


冬夜は、今までに一度もあたしを抱こうとはしなかった。


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