群青の月
◆Side‥冬夜
【Side‥冬夜】
近所の公園の金木犀が香り始めた頃、夜の空気が肌に凍(シ)みるようになっていた。
俺はその冷たさを味わいながら、ベランダでタバコを吸っていた。
すると、柚葉もタバコを咥えながら出て来た。
「……寒くないの?」
「別に平気だよ。俺、冬生まれだから、寒さには結構強い方だし」
煙を吐く俺の隣で、柚葉が小さく笑う。
「それ、関係あるの?」
「あるよ、たぶん」
「ある訳ないじゃん」
「じゃあ、訊くなよ」
わざとらしく眉を寄せて柚葉を見ると、彼女がまた笑った。