群青の月
嫌そうな表情をしている柚葉が、どこか前向きにも見えた。


彼女が一人で外出が出来るようになってから、まだ数日しか経っていない。


それなのに、もうバイトの事を考えている。


着々(チャクチャク)と元の生活に戻ろうとしている柚葉が遠くに行ってしまう気がして、やっぱりまた寂しさが込み上げて来た。


「……そんなに無理して働かなくてもいいだろ」


「別に無理なんてしてないよ。むしろ、向いてない家事ばっかりしてる方が無理してるし」


俺が無意識のうちに発した言葉に、柚葉はすかさずキッパリと返した。


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