群青の月
柚葉が俺に干渉をして来る事は、今までに一度も無かったと思う。


それはたぶん、彼女自身が他人から干渉される事を嫌っていて、何よりも他人にあまり興味が無いからなんだろう。


その証拠に、柚葉は初対面の時から疑問形で話す事が少なかった。


だから…


ましてや俺自身の心情を尋ねて来るなんて、絶対に有り得ない事だと思っていた。


気まずい雰囲気は変わらないのに、柚葉があんな風に訊いてくれた事に嬉しさを感じる。


どこか戸惑いを残しながらも心配そうに眉を寄せるその顔にも、思わず口元が綻んでしまった。


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