群青の月
耳元で落とされた言葉は、きっと嘘じゃない。


素直にそう思えるのに、心に蔓延(ハビコ)る不安はちっとも消えてはくれなくて…


どうしても、その言葉を信じ切る事が出来なかった。


「じゃあ、どうして謝ったの……?あたしの事を汚いって思うから……」


「だから、さっきも『それは違う』って言っただろ……」


冬夜はあたしの言葉を遮って、深いため息をついた。


それから少しだけ間を置いた後、彼が体を離した。


冬夜はゆっくりと瞬きをすると、何かを決意するように深呼吸をしてから真剣な表情になった。


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