群青の月
どうやら、柚葉は自分の気持ちを伝えるのが苦手らしい。


口では『普通』だと言いながらも、柚葉はずっと黙々と食べていて…


そんな姿を見ていると、彼女が料理を『美味しい』と感じているんだと思えた。


一人で納得した俺は、自己満足の嬉しさに頬を緩ませながら食事を続けた。


「もう、無理……」


それから程なくして、数分振りに口を開いた柚葉が苦しそうに呟いた。


「じゃあ、残りは俺が食うから置いとけ」


結局、彼女が食べたのはピザが一切れとチーズハンバーグ、そしてほんの一口分程のカルボナーラだった――…。


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