群青の月
「……だったら、いっそ壊してよ」


艶っぽく、だけど迷いの無い真っ直ぐな眼差しで零されたのは、そんな言葉。


「冬夜に壊されるなら、それも悪くないよ……」


もう充分過ぎるくらい俺の事を誘惑しておいて、それでもまだ惑わそうとする柚葉に、体の奥が更に熱を孕(ハラ)む。


「……どっかで、似たような台詞を聞いた気がするな」


ほんの砂粒程だけ残っていた理性で、せめてもの抵抗の為に苦笑して見せる。


だけど…


返って来た微笑みに心をグッと掴まれて、それすらも綺麗サッパリ奪い去られてしまった。


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