群青の月
柚葉の唇から断続的に漏れる吐息と甘い声が、どんどん俺を煽る。


少しでも長く繋がっていたくて、余裕を求めるように柚葉の背中に手を這わせると、彼女の体が大きく強張った。


その理由を察した俺は、必死で欲望を押し退けて理性を呼び戻す。


「大丈夫だから……」


息を吐いてから柚葉の耳元で囁くと、彼女の体から力が抜けた。


見られるのが嫌な事はわかっているから、敢えて見たりはしない。


だけど、柚葉の背中に触れた指先には、痛々しい無数の傷痕を感じて…


見なくてもわかる程の傷の量に、胸の奥が酷く痛んだ。


< 714 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop